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肘の内側が痛いと悩んだ21歳ピッチャーの疾患と4つの治療法を紹介します

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肘の内側が痛いと悩んだ21歳ピッチャーが靱帯損傷している疑いがあった話

 

たく
たく

肘内側の痛みが酷くて困っています。。

あみ
あみ

肘の痛みはどうやって治療すれば良いんですか?

 

このような声にお答えします。

本記事では、肘内側の痛みについて紹介します。

 

本記事を読むと、大学生の投手が悩んだ肘内側の痛みに関するお悩みを紹介します。

 

肘痛とは

肘痛とは

肘痛とは、肘に痛みを訴えることを言います。その症状は様々で、外側や内側、後方にでることがあります。特に肘内側の痛みというのは、重症化する例も少なくありません。プロ野球のニュースでトミージョン手術という名前を聞いたことはありませんか?それは、肘内側の痛みが重症化したことで手術した例なんです。この記事を通して、肘内側に痛みを訴える方の他、ジュニアのスポーツ指導者にも知って頂けたら幸いです。今回は、大学の野球部に所属する21歳男性の悩みを記事にしましたので、最後まで見て頂けたら嬉しいです。

 

Aさんの相談内容

Aさんの相談内容

今回の相談者は、大学の野球部に所属する21歳男性です。

 

Aさん
Aさん

大学で投手をやっています。投げていたら、肘内側に痛みがあって、筋肉のハリも強いので、取って欲しいです。

 

最初に話を聞いた時は、上記のように筋肉のハリが強いと話をしていましたが、肘の内側にも痛みを訴えていたので、念のため圧痛(痛む場所)をチェックしました。すると、筋肉と靱帯は圧痛の場所が異なりますが、どう考えても靱帯部に痛みを訴えていました。そこで、私は肘の内側側副靱帯損傷を疑いました。では、内側側副靱帯損傷について解説します。

 

肘内側の疾患

肘内側の疾患

 

肘内側側副靱帯損傷

肘内側側副靱帯(MCL)とは、肘関節の安定性を高める靱帯で、内側に付着しています。下記のように、上腕骨内側上顆から尺骨(前腕骨)に付着しています。

肘内側側副靱帯

 

肘関節は、肩関節と違って、基本的に屈伸運動しか出来ない関節なんです。それは、靱帯が外側と内側に付着していて、上手に誘導してくれているからなんです。靱帯が切れると肘がグラグラになる。これが肘関節内側側副靱帯損傷なんです。

 

肘内側側副靱帯を損傷すると、Aさんが言う通り、グラグラになって不安定感を訴えます。そのため、投手は球を投げる時に、怖さを感じます。これは、徒手でも再現することが可能です。上腕を固定した状態で、前腕を外側に誘導すると、不安定感を訴えます。これを外反ストレステストと呼びます。

外反ストレステスト

 

肘内側側副靱帯損傷は治る?

靱帯損傷は、筋損傷と違って、断裂すると完全に修復することが難しいです。普段の日常生活であれば、多少の不安定感があっても問題ありません。しかし、Aさんのようなスポーツ選手の場合、肘内側側副靱帯に強い外力が加わることが今後も予測されます。そこで一番問題になるのが靱帯の強度です。靱帯の強度を補填するには、現在だと下記の手術や注射を選択するパターンが非常に多いです。

 

 

  1. トミージョン手術
  2. PRP注射

 

 

1. トミージョン手術

トミージョン手術とは、肘内側側副靱帯の再建術です。前述した通り、一度断裂した靱帯は、完全な修復が見込めないので、他の部位から靱帯の代わりになるものを取ってきます。特に代わりの靱帯として活用されるのが長掌筋腱です。

長掌筋

長掌筋

 

起始:上腕骨内側上顆

停止:手掌腱膜

神経:正中神経

作用:手関節屈曲

長掌筋は、元々ない人もいると言われている筋肉です。この長掌筋腱を取るこのデメリットが少なく、再建術に使用されることが多いです。しかし、人間には長掌筋腱は左右合わせて2本と限りがあるので、術後の予防が非常に大切です。

 

2.PRP注射

PRPは、再生医療として注目度が上がっている注射です。トミージョン手術とは大きく異なり、皮膚を切開せず、自己治癒力を最大限サポートして治すため、スポーツ選手特有の感覚のズレを防止できる他、感染リスクも少ないです。

 

トミージョン手術 VS PRP注射

トミージョン手術とPRP注射は比較されることが多く、切開しないPRPが良い!と考える方が多いです。しかし、これは靱帯の状態によって使い分けて考える必要があります。

PRP注射の場合、自然治癒能力を最大限サポートするために行う注射なので、修復される見込みがある場合に選択します。例えば、完全に断裂していて、不安定感を強く訴えている方には、PRP注射の効果は薄いことが考えられます。もう一つは時期です。受傷後なるべく早期の新鮮時は、修復活動も活発なため、効果が期待できます。

一方でトミージョン手術の場合は、再建するので完全断裂にも適応できます。特にスポーツを続行するうえで、靱帯の強度が必要な場合に選択します。このように、トミージョン手術とPRP注射は状態によって使い分けることができるんです。

 

これまでが、肘内側側副靱帯損傷の解説でした!肘の内側に痛みを訴えていた場合、内側側副靱帯損傷の他にも前腕屈筋腱の損傷が考えられます。そこで、次は前腕屈筋腱炎について解説します。

 

前腕屈筋腱炎

前腕を曲げる筋肉のほとんどは、肘の内側に付着しています。下記の図を見ると、内側に腱が密集しているのが分かりますでしょうか。これが前腕屈筋腱です。

前腕屈筋

この腱は、しばしば炎症を起こすことがあります。圧痛(痛い場所)を確認すると、筋または腱の部分に痛みを訴える他、手首を動かすと運動痛がみられます。前腕屈筋は、手首を動かす作用があるため、日常的な外力の蓄積から発症するケースが多いです。また、2次的にみられることもあります。

※2次的とは、例えば、肘内側側副靱帯を損傷した場合、不安定感を訴えますよね?不安定感があることで、肘の内側にある筋肉も引っ張られるんです。その外力の蓄積で炎症を起こすことがあります。なので筋肉がハっているからと言って、一概に前腕屈筋腱炎だね。と決めつけられないのは、2次的が考えらえるという点がポイントなんです。

 

 

Aさんの考えれる疾患

Aさんの考えれる疾患

Aさんは、投手で普段から日常的に練習で投げていました。そこで出現した肘内側の痛みと筋肉のハリ、圧痛の部位を考えると、肘内側側副靱帯損傷と2次的な前腕屈筋腱炎が考えれます。そこで今回は次のアプローチを提案しました。

 

 

肘内側側副靱帯損傷と2次的前腕屈筋腱炎の治療

肘内側側副靱帯損傷と2次的前腕屈筋腱炎の治療

肘内側側副靱帯損傷と2次的前腕屈筋腱炎に対するアプローチとしては下記です。

 

  1. 医師による診断
  2. MRI検査
  3. 前腕の手技(マッサージ)
  4. 電気治療

 

 

肘内側側副靱帯損傷は、状態の確認が必要です。外反ストレスをかけたレントゲンにより、ある程度緩さを判断できますが、MRI検査で、より詳細な確認が必要だと思います。これにより、トミージョン手術なのかPRP注射なのか決めることが出来ます。

また、2次的前腕屈筋腱炎は保存的治療(手術しない治療)で対応することが可能です。日常的にかかるストレスによる筋肉のハリを手技で対応し、痛みが出ている付着部は電気治療することで治すことが出来ます。

Aさんは、靱帯の状態を見極めるまでは練習中止としました。靱帯の状態が良好で競技に復帰するとなったとしても、予防することが大切なので、フォームの見直しやテーピングが必要になります。投手は、長時間にわたる練習で何回も投げるので、汗でもはがれにくいテープを選択しましょう。